クラウンカジノ:中国犯罪組織との関与の疑いが発覚
クラウンカジノ:中国犯罪組織との関与の疑いが発覚
オーストラリア最大のカジノを運営する企業、クラウン・リゾートのスキャンダルが発覚。中国の犯罪組織とのつながりの疑いがあることが明らかになりました。中国人の高額ギャンブラーをカジノに呼び込むプログラムの一環として、アジア地域でもっとも大きな勢力を誇る犯罪組織を後ろ盾にしたツアー・オペレーターと取引していると報道されており、この事実が発覚した後クラウン・リゾート社の株式は2.1%下落しました。これは過去3か月間、1日で起こった最大の損失です。もう一つ下落したものといえばクラウン社の評判です。同社は今のところ沈黙を保つ姿勢で、ブランドの将来はそれほど明るくないといえそうです。
The Age、The Sydney Morning Herald、60 Minutesが率いる調査では、カジノとホテルが中国のツアー・オペレーターと協力して中国の犯罪組織に関わるエリート客を引き付けたと報告されています。クラウン・リゾートがオーストラリアのビザ手続きの弱点を利用して、VIPギャンブラーを大した抵抗もなくオーストラリアに招いている可能性があるとも伝えています。さらにドラッグ密売、マネー・ロンダリング、人身売買、中国政府に影響を持つエージェントなどとの関係が噂されるツアー・オペレーターとも取引を続けているとされています。
2010年に中国市場に参入したクラウン・カジノは、中国人高額ギャンブル市場での売り上げをねらい従業員に中国の反賭博法に違反する指示を出していたばかりか、 当局が介入した際に従業員を守る態度を取らず、どうやら従業員よりもお金を重視する企業のようです。
同社はギャンブルとその広告宣伝を禁止する中国の法律に違反したため、2016年に19人の従業員が逮捕されました。この従業員の1人Jenny Jiangさんは、当時彼女と同僚に何が起こったのかを公に語った最初の従業員です。Jiangさんは上海在住で、現在の彼女には元雇用主によって犯罪歴が残されました。また彼女は、クラウンから沈黙を条件に口止料として60,000ドルの支払いを提案をされましたが、これを拒否しました。
彼女は、彼女の主な収入はインセンティブに基づいていたと証言しています。インセンティブは、ハイローラー顧客が数十億ドルのなどの高額ギャンブルの目標に達した際、従業員に支払われるというものです。インセンティブに関する彼女の証言は、中国の裁判所文書に裏付けられています。 これらの文書は、クラウンの営業スタッフが目標を達成する際に「コミッション」として収入を得ていた事実を説明しています。高度なマネージメントにより、すべてのスタッフに多くの顧客と会う機会を提供し、より多くのビジネスを獲得するようになったようです。
彼女はまた、中国のオーストラリア領事館がクラウンのビザ取得を支援し、いくつかの申請書に印が押されたと考えています。 彼女が主張するには、オーストラリア政府に収入をもたらすというクラウンの約束が、これらのファストトラックビザに貢献したということです。 その結果、カジノへのツアーで数百万ドルを賭けると約束した何百人もの中国人がその恩恵を受けました。
調査では、クラウンがより多くの資金を得るために、アジアの組織犯罪シンジケートおよび世界で最も強力な麻薬密売シンジケートと緊密に連携する準備ができていることが報告されました。さらに、クラウンが犯罪者の国境通過を助けたと、政府高官によって証言されています。これはオーストラリアの安全保障に疑問を投げかける脅威です。
これらの犯罪組織は、マネー・ロンダリングまたは違法に資金を国外に移動させるために、さまざまな方法を探します。彼らはオフショアファンド(非居住者に対して税制面で優遇措置をとっているタックスヘイブン/租税回避地に登記上の本拠地を置くファンド)へのアクセス権を持つオペレーターと協力することから、換金不可能なカジノチップや豪華なサービスを提供することまで、その使命を達成するために何でもします。その後ツアー・オペレーターは手数料を受け取り、犯罪組織はカジノに「クリーン」なお金を残すのです。
声明の中でクラウン・リゾートは、中国での法律違反または従業員を拘留させたという申し立てを否定。ただし特定の申し立てについては、「これ以上コメントできない」と述べています。それとは別に、このブランドには、AUSTRAC(オーストラリア取引報告分析センター)に準拠したマネーロンダリング防止およびテロ対策の資金調達プログラムがあります。
弁護士モーリス・ブラックバーン氏は、上記の従業員が拘束されクラウンの株価が急落した後、クラウンに対する集団訴訟を開始しました。この訴訟では、クラウンがこのリスクを予測できた、もしくはリスクについて知っていたはずであると主張されています。カジノの最大株主であるジェームズ・パッカー氏の弁護士は、このリスクについて何も知らなかったと強調しました。さらに興味深いことにパーカー氏は、同社従業員の福祉を深く懸念していると述べたのです。
オーストラリアでは、テレビ番組「60 Minutes」でどのようにこの物語が宣伝されたていたかについても怒りの声が上がっています。視聴者はこのような調査が起こったのは今回が初めてではないことを心に留めています。2017年に同様のABC調査が行われました。 一部の人々は、物語全体が誇張され過度に宣伝されていると信じています。
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