「ルーレット」として知られているゲームの起源は、多くの謎に包まれています。ルーレットという名前はフランス語の「小さなホイール」からきており、現在一般的なルーレットのバージョンの原型は、17世紀頃フランスの数学者、物理学者、発明者、作家、キリスト教哲学者である天才ブレーズ・パスカル（Blaise Pascal）が、永久運動について探求していた際に誕生したと考えられています。

しかし、多くの歴史的証拠が示すように、人類は古代文明の時代からルーレットに非常によく似たゲームを楽しんでいたようです。ルーレットの豊かな歴史の中から、いくつかの興味深い事例を見てみましょう。

中国の陰謀

多くの人々が信じている説として、ルーレットは37の動物の置物を、合計666ある魔法陣に配置していく古代中国のボードゲームに起源しているという説があります。このゲームは当時中国に深く精通していたドミニカ人僧侶によって発見され、後にわずかな修正が加えられ、ヨーロッパに伝えられました。

残念ながら、起源とされる中国のゲームが実際にどのようにプレイされていたのか情報を見つけることはできません。伝えられるところでは、僧侶達がゲームボードのレイアウトを変え、正方形を円形にして「ゼロ」のスロットを加えたとされています。ただしこの物語には1つ問題があります。それは最初期のフランスのルーレットにも、ゼロ・ダブルゼロの両方のスロットがあったという事実です。つまり、この「古代中国を発祥とするゲーム」という説はおそらく事実ではないでしょう。 しかし現代のルーレット盤の数字の合計が「666」になるというのはミステリアスな事実です。

古代ローマ時代の暇つぶし

古代ローマ時代に兵士になること、それは特に楽しく展望ある仕事というわけではありません。平均寿命が短いという事実を除いても、戦いで絶えず負傷し友人や同志が殺されるのを目の前で目撃するという、厳しい状況に対応しなければなりませんでした。これらの事実は兵士の士気を低下させ、戦場での彼らのパフォーマンスを低下させるのに十分過ぎるほどでした。

この事態に対応するために、ローマの司令官は兵士にギャンブルゲームを含む、多くの娯楽を提供しようとしました。ゲームの多くは、盾や戦闘用馬車の車輪を回転させるなど、ルーレットのプレイスタイルに近いものでした。

古代ギリシア人もスピンに夢中

古代ギリシャの兵士達も矢や槍で戦闘していない間は、ギャンブルゲームの楽しさとその公正な分け前の恩恵に預かっていました。その中でもあるゲームは現代のルーレットに非常に近く、内側にシンボルが描かれた盾を地面に裏向きに置き、その隣に矢を置いた上で盾を回転させ、どのシンボルが矢の前で止まるか賭けをするというゲームでした。

これらの兵士のゲームはルーレットの起源に関係している可能性がありますが、ルーレットがギリシャやローマ発祥のゲームであるという主張を支持するのに十分な証拠ではありません。

フランスに軍配が上がる

「ルーレット」というフランス語の名前が表すように、このゲームは間違いなくフランスが起源であると言えます。ただしデザインとゲームプレイは、17世紀ヨーロッパで人気のあった2つのよく似たゲームの影響を強く受けています。これらのゲームは「ローリーポーリー（Roly Poly）」と「イーブンオッド（Even-Odd）」と呼ばれ、どちらもホイールを回転させてその結果に賭けるというものです。パスカルは有名なギャンブラーでもあったため、自作のホイールを開発する際に間違いなくこれらのゲームを参照したと考えられます。

当時、ギャンブルはあまり人気がありませんでした。これは、当時のヨーロッパでは多くの国でギャンブルが違法だったことが原因です。しかし18世紀後半になると、厳格なギャンブル法が導入されることで、フランスを含むそれらの国々で法の制限のもと、ギャンブルゲームが復活しました。当時モナコのチャールズ皇太子は経済面で問題を抱えており、その解決にギャンブルの人気を利用するという素晴らしい考えを思いつき、ルーレットを特に目玉とするいくつかのギャンブル施設をモナコにオープンしました。その結果、ゲームは貴族や王族の間で非常に人気が広まったのです。

これらのギャンブル施設でプレイされたルーレットは、今日私たちがプレイしているルーレットとベットオプションも含めてほぼ同じです。数字は1〜36、ゼロポケットとダブルゼロポケットが1つずつあり、赤と黒で配色されていました。